自宅の近くにあって、医療的ケアや障害があっても子どもを安心して預けられる、そして子どもたちもそこに行くことを楽しみにしているようなお泊りの施設があればどんなに良いか、私の心にそんな想いが宿ったきっかけは、2010年にイギリスのヘレン・ダグラスハウスという世界で最初の子どものホスピスを訪問したことでした。そこは、1000年以上の歴史のあるイギリス最古の大学の街オックスフォード、その市中の広い修道院の美しい庭の中に建ち、ホスピスと言っても、実際は重い病や障害のある子どもたちとご家族のためのレスパイトハウスであり、地域の方々の協力で運営され、子どもたちが、まるで、おばあちゃんの家に行くように、そこに行くのが楽しみで、ご家族も一緒に癒され、休むことができる「家」でした。
今回、そんな私の長年の夢を実現したのが、レスパイトハウスやまぼうしです。2019年6月から、わたしたちはるたか会のみでなく、地域のお母さん方、訪問看護師さん、松戸市の行政の方で話し合いを重ねてきました。それを協働作業によって実現したのがやまぼうしです。
そしてもう一つ、「やまぼうし」の名前は、私たちが忘れることのできない大切な体験をくださった華子さんという少女の物語がその由来です。華子さん、華ちゃんは大磯で、ご家族と大切な忘れられない想い出のレスパイト旅行を過ごした後、出会った全ての方にありがとうを繰り返しながら、天に還られました。そこで過ごした時間をかけがえのない記憶にするために、植樹されたのがやまぼうしの樹でした。華ちゃんとご家族が、心から安心した楽しい時間を過ごせたように、レスパイトハウスやまぼうしを利用する全ての子どもとご家族が、心から安心して楽しい時間を過ごせるように、そして私たちが華ちゃんに教えていただいた優しい心、一人一人を大切にする心をいつまでも忘れないように、そんな思いが「やまぼうし」の名前には込められています。
医療法人財団はるたか会 理事長 前田浩利